子どもが試合でミスしてすぐ交代させられる姿を見るのは、親としてとてもつらいものです。
ある日の試合で、そんなとき、私は息子にどんな言葉をかけたか。
ヒットを打って、チャンスを作ったにもかかわらず、走塁ミスによって、ベンチに下げられた息子。
試合が終わって解散後に、胸が締めつけられながらも、前に進んでほしいと願って息子に伝えた一言をお話しします。
試合に出ても下げられる息子|実力差と親の葛藤
息子が5年生になる前の3月。
新6年生に加わり、新5年生も試合に出る子が出てきます。
息子は、1年生から野球を続けていますが、スタメンで試合に出れても下げられてしまうことも多々ありました。
試合に出られる子もいれば、ミスをしてすぐ交代させられる子もいます。
息子は後者で、出られても途中で下げられることがよくありました。
監督の采配は実力重視。
でも、親としてはやはり複雑な思いがありました。
息子は、足が速いわけでもありません。
守備もエラーをするときはありますし、声もあんまり出ている印象はありません。
目立って打てているわけでもない。
そんな息子のいいところは、野球を続けていること。
だからこそ、親の本音としては、試合に出て活躍してほしい。
息子が5年生になる頃、私も主人もそんな風に思っていました。
ツーベースのあとにまさかのミス|母の胸に走った痛み
ある日の試合で、息子は、ツーベースヒットを打ちました。
ランナー2塁3塁。
しかし…
チャンスを作れたその次の場面で、まさかの走塁ミス…
3塁走者が走っていないのに、3塁へ向かってしまって、コーチャーの声も、誰の声も聞こえてない様子でした。
気づいて慌てて、2塁へ戻りますが、危なっかしい姿にその場で交代。
「なんで、走ったの…?」
息子のまさかのミスに、親として、胸が痛くてたまりませんでした。
交代後の息子の姿に気づかされた“成長”のかけら
ベンチに下げられてから、コーチの手が息子の肩に添えられて、丁寧に何か教えられている姿がありました。
ベンチでも、息子がみんなと手拍子をつけて、応援する姿が見えました。
結果、チームは勝利しました。
そこには、息子がチームの勝利を仲間と喜ぶ姿がありました。
勝てたことは嬉しいこと。
息子は、その感覚をしっかり持っているんだなと思いました。
ただ、周りの雰囲気とは対照的に、私は、ものすごくしんどくて、その場にいるのもつらかったのです。
隣に主人や次男もいたので、それは少しだけ救いでした。
ところで、このあと、なんて声をかけてあげたらいいんだろう…
自分で乗り越えられるように|親の距離感
試合が終わって解散してから、私や主人のところへ息子が来ました。
笑顔を作って「下げられちゃった…」と寄ってきた姿に、思わず出た言葉。
「気持ちをスッキリさせるためにも、監督に一言、言っておいで。」
嫌がるかな…と思ったけど、
うん。と頷いて、すぐに監督の方へいきました。
「あそこで走ってすみませんでした。」
みたいなことを言ってました。
監督は、どことなく嬉しそうに、
「なんで走ったんだよ?」と聞いて、
「キャッチャーがボールをそらしたと思ったからです。」と息子は答えていました。
「そうか。」と監督は穏やかに聞いてくれていました。
離れていたので言ってることがよくわからなかったですが、周りの様子や声を聞けてなくて、自分の判断が間違えていることに気づけてなかったんだなと分かりました。
「次は、がんばれよ!」そう言ってもらっていました。
「はい」と返事をして、私たちの方に戻ってきました。
「ちょっとスッキリしたかも。」と言って、家族で一緒に帰りました。
“次”があるんだな…と思ったら、私も少しホッとしました。
失敗した息子へ|見守る親の想い
失敗したら、大切なのは、その後にどうするかということ。
私が、芳しくない状況の続く息子に思うことは、「こういう状況だからって、くさってほしくない」もうそれが一番の気持ちでした。
その気持ちから、不自然な笑顔で寄ってきた息子に思わず出たのが、自分で向き合ってこい!っていうメッセージだったのかもしれません。
想像していたよりも、監督が穏やかに息子にミスした理由を聞き返してくれてたのが、私はとても嬉しかったです。
それは、息子も同じだったようです。
帰宅してからは、スッキリした笑顔に戻っていました。
向き合い方の正解は分からない
親として、どう向き合えばいいのか。正解は、今も分かりません。
でも、「監督に話しておいで」と背中を押したあの日、息子が少しでも前を向けたのなら、それだけで意味があったと思いたい。
ただ、本当に乗り越えられたわけではなくて…
次の練習日の前夜、息子はふと目を覚まし、ぽつりとこう言いました。
「つらい、行きたくない。」
あの“ひとこと”は、彼の中でどう変わったのか。
この続きは、次の記事でお届けします。