「野球がつらい…」と涙をこぼしていた息子。
その後も、試練はありながらも、小さな変化が、ある日ふと訪れました。
それは、誰に言われるでもなく、朝、登校前に自ら素振りをするようになったこと。
いつも通りの朝に見せるその行動に、私はちょっと驚き、そして、「この子は本当にもう大丈夫かもしれない」と思うようになりました。
そして、そう思えるようになったことで、私は少し気持ちをラクに見守れるようになりました。
今回は、息子が「自ら動くようになったきっかけ」と、その背景にあった出来事をお話しします。
次の試練|試合に出れない現実と親もつらい気持ち
誕生日のヒットから、気持ちが前に進み始めた息子。
しかし、その後、体調不良で試合を休んだときに、下の学年の子が活躍し、その後スタメンから外れがちになりました。
実力主義ではよくあることかもしれません。
親としても、複雑な思いが続きました。
私自身、試合に行くのがつらくなったこともあります。
ただ、それって、試合で活躍してほしいと親が期待しているからなのです。
でも、ふと気づくと、ベンチでもしっかり前を向いて仲間を応援している姿が見えました。
試合中はベンチも忙しい
試合に出れなくても、試合の応援をすることはとても大切です。
ボールボーイは、ボールを拭いて審判に渡します。
バット引きをすることで、スムーズに試合が進みます。
そして、応援は、何よりもチームの力になります。
以前は、自分の息子が試合に出れなくて、親としてつらいと感じていました。
でも、少し視野を広げてみると、試合に出れてなくてもがんばっていることに気づきます。
そこを褒めてあげればいいと思いました。
朝の変化|ちょっとした一言で動き始めた息子
ちょうどその時期から、息子は朝起きてから登校前に、自ら素振りに行くようになりました。
それまでは、私や主人が「素振りした方がいいよ!」とか声を掛けてやることはありましたが、自発的に継続して行う姿が出てきたことに驚きました。
ただ、伸び悩む息子に私がつぶやいたことがあります。
「早起きは昔から得意なんだから、朝、バット振ったりしたら気持ちいいんじゃない?」
そんな風に声を掛けたことで、その日から「ちょっと行ってくる」と、起床するとバットを持って外に行くようになりました。
「素振りしなよ」という声掛けよりも、ちょっと響いたみたいです。
小さな成功体験|「素振りをすると、打てる!」
息子が5年生の6月、5年生以下の試合があったとき、スタメン出場の試合で、ここぞの場面でヒットを放ちました。
「素振りをすると、打てる…」
そんな風に、思えるようになった息子は、それからずっと朝の素振りを続けています。
毎日必ずというわけではないです…体調や天気などにもよりますが。
自分で、「素振りをすると打てる」ということに、気づくということが継続へとつながっていました。
父親のサポート|野球教室での気づきと寄り添い
実は、4年生のときは、ほとんどヒットなど打たなかった息子。
「レギュラーで出たいなら、打てるようになればいい!」
父親がそう言いました。
誕生日ヒットの前に、個人的に教えてくれる野球教室に数回連れて行ったのです。
1時間3000円…
主婦目線では、正直ちょっと勇気のいる金額でした。
ただ、スポ少のチーム練習では、個人的に細かく指導があるわけではありません。
そこで、息子に合わせて、タイミングの取り方やアドバイスを1時間にかけて教えてもらうことで、気持ちが前に向いてきたというのもあります。
我が家は、夕方遅い時間に下の子を連れていくことは控えたかったので、その時期だけ数回、平日休みの主人が長男を連れて行ってくれてました。
土日の試合などなかなか応援にいけない傍らで、そんな風に息子が前を向けるように応援してくれていた父親です。
“自ら動く力”を育てたのは…
息子が自らバットを振るようになったのは、父親が野球教室に連れて行ったこと。
素振りをすると、打てるという実感が持てたこと。
さらに、打てるようになってきた変化を、監督やコーチが感じ取ってくれたこと。
この3つが、息子を「大丈夫」な状態へ導いてくれたのだと思います。
その後も、試合での途中交代はよくありましたが…
それから、試合はスタメンで出場するようになりましたが、やはり守備でミスが続いたりすると、途中交代となることも多々ありました。
しかし、以前のように、私自身もそこまで心が痛むことはなくなりました。
少しずつ、息子の前へ進む姿を感じることができるようになったからだと思います。
母としてできるサポート
家庭によって母親ができるサポートは様々かもしれませんが、私には野球の知識や体力、技術があまりないので、できることは主に3つでした。
母としてできるがんばっている子どもにできるサポートは、
「十分な睡眠」
「栄養面を考えた食事」
「前向きな声かけと応援」です。
たとえば、練習中に注意を受けている様子が気になったときは、
「あのとき、なんで注意されてたの?」
と、息子に聞くようにしていました。(分かっていても…)
答えてもらった後に、
「そうなんだ、勉強になったね。」
「行ってよかったね。」とコミュニケーションをとるようにしていました。
試合に活躍できるといいなと期待するよりも、
応援しようと思ってからは、
完璧にできてなくてもいい。
そう思うようになりました。
親として気持ちをラクに応援しよう
暑い夏が始まった5年生の7月。
肩の力を抜いて、気持ちをラクに応援しようと思えるようになった頃、私は体調を崩しがちになりました。
同時期となる夏休みのはじめ、チームから5年生3人が選抜試合に出場する機会がありました。
市内のチームから集められたメンバーで、合同チームを作り行う試合です。
勝敗よりも、個人プレイでタイトルをとれるかどうかの選抜試合です。
最初は、3人のメンバーではなかった息子。
しかし、体調不良で参加できなくなった仲間の代わりに急きょ、息子が出場できることになりました。
夏の暑い日、“賞とってくるね!”とやる気満々で力強く言い残して出かけていった息子。
その日の息子の言葉が、私の心に静かに残りました。
そして、楽しい経験になればいいなと見送ったのです。
続きは、また今度、書きたいと思います。